2008年05月15日

「その時歴史が動いた」で岡倉天心の文化保護の話だった。

廃仏毀釈といい、信長の比叡山焼き討ちといい。
海外に目を向ければ中国の文化大革命といい、カンボジアのポルポト支配といい。
政権が大きく変わる時、必ず文化の破壊活動が起こっている。
政権の正当性を誇示するために、前政権の擁護していた文化を物理的に壊すことで、新しい文化を築こうとする。
そういう明治時代の流れにおいて、文化財保護の法律を作るまでの軌跡の話だった。

多くの有形文化財は、依頼された仕事を志高く職人として仕上げ、そのうちの秀逸な物が残ったものがほとんどだと思う。
そういう積み重ねが文化になるんだと思う。

歴代JASRAC賞
海外で使われた日本の音楽:殆どアニメBGM wwwwwww
漫画もアニメも平安時代の絵巻、江戸時代の浮世絵から脈々と繋がる単純化誇張表現の伝統文化といえばそうなのだが…。

話は変わって。
明治の文明開化の時に反故にされ包み紙にされた浮世絵や海外流出した工芸品は、海外に渡り多くの西洋芸術に影響を与えた。
西洋絵画は陰影でリアリティを出すのが主流だったが、日本画は陰影は少なく物体色や質感を出すのが主流。
ゴッホは影の出来ないほど日本は光に溢れた国なのかと勘違いし、日差しの強い南仏にアトリエを構え、モネは日本画の陰影の少ない色彩表現の手法を油絵に取り入れた。
数多くの陶磁器や織物の模様や様式、浮世絵の単純化や誇張表現はアールヌーヴォーを興し、今のポップアートの先駆けになった。

日本人は自国の様式美、単純化、誇張表現の文化にもっと誇りを持っていいと思う。



文化の変革には政治だけでない技術の歴史の流れが必ず付きまとう。

アールヌーヴォーがおこった頃、写真が登場している。
昔は絵や彫刻は現在の写真と同じ存在で、折々に記念写真を撮り飾るように風景画や肖像画が描かれた。
写真や印刷の登場により画家は忠実に描くという役目が無くなってきたわけである。
忠実さなら写真が上。
ならば写真に写らない心や空想の世界を絵に表現するか、商業製品を彩るものの上にのるか、一般人に絵を教えるかしか生き延びれなくなったわけである。

同様に録画録音方法が発達し、道具や通信方法も変われば、上記のような変革は有形無形にかかわらずどの芸術分野でも起こるわけで、「職人」の部類の芸術家は仕事を失う運命になる。

素人がプロと同等の道具を得て、時間軸を超えて同じ物が劣化せず何度も再現されるネット社会。
常に新しいものを作り複製される元ネタになるか、販路拡大路線に入るか、技術を伝える人になるか、廃業するか。

夢を売って生きる人には厳しい時代になったねぇ。

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この記事へのコメント

1. Posted by おとみ   2008年05月15日 20:23
かといって、
こんなものに15億払う価値があるかと。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080515-00000051-jij-int

小便小僧や阿修羅像も、作られた当時はこういう扱いだったかも知らんが。
小便小僧は爆弾から皆を救った顕彰だし、
阿修羅は宗教心。

このフィギュアには、なんの心が入ってるんだ?

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