2008年07月30日

アマ楽団、高額楽器の破壊の件。
自分が当事者だったらどうしただろう。


mixiに書かれた関係者の日記を元に、新聞記事と印象が違う点を整理。
(原告側の人なので楽団側には不利な内容に偏ってるかもしれない。)

・楽団側が楽器搬入のスペース(駐車場・搬入口)を用意し忘れていた。(通常事前打ち合わせし確保する)
・急遽、搬入に不向きな通用口に案内された。(凹凸があるスロープ状。外なので高温。長時間駐車禁止。)
・楽器は職人で運搬のプロでもある高橋氏がチェンバロ専用台車に乗せた(専門業者=高橋氏が居た。上記理由により時間の余裕は無い)
・場所がスロープ状で不安定なので、手伝いに来た団員に動かないように支えるよう指示(専門業者の指示があった。)
・高橋氏が搬入車のハッチを閉めている(1〜2歩移動して振り返っている)間に事故発生

新聞記事では団員に運ばせた印象を持ってしまう。

論点は、専門業者である高橋氏が一時目を離した間何が起きたか。(弁償の部分)
・原告の主張の通り指示を無視して勝手に移動させようとしたのか、楽団の証言通り単純に専用台車が壊れたのか。
・専用台車の壊れた原因は何なのか。専用台車が壊れて落下したばあい、本件のような壊れ方になるのか。
・楽器を支えるよう頼まれた人は、頼まれた内容どおり楽器を支えていたか。
また、
・正常な搬入経路を確保しなかったことの責任はどちらにあるか。
という部分も気になるところ。

そして杜撰な事後処理(名誉毀損、心的傷害による損害賠償部分)
・原告が謝罪を要求するまで1ヵ月も連絡もなく放置。この間内部調査もなかった。
・1か月後の面会で、10万の見舞金を持参。謝罪というより弁明と弁償金の値切りだった。
・当事者全員(4〜5名?)による謝罪を求めるも、2名しか来なかった。他は団員なのに名前も確認できないという。
・さらには悪質な流言を吹聴された。

知人が「今後の為にも」と働きかけ訴訟に至ったらしい。
本人たちはそれまで訴訟をする気持ちはなく、まともな謝罪も弁償も無く泣き寝入り状態だった。

訴訟開始後判明したこと
・実は楽団側が保険に加入していた。→訴訟により保険会社の調査が入る。
 (調査=保険適用の範囲内?保険会社が楽団を弁護?)
・楽団は区の補助金を受けてるのに、区に事故の報告義務を果たしていなかった。
・証言内容に矛盾が出始める。(口裏合わせ?)
・アマチュアの方がずっと金持ちで弁償能力もあった。
新聞記事はこれらに触れていない。


原告が求めてるのは、多分、額面通りの賠償ではなく、偽りのない証言と謝罪、再発防止のための全国業界への周知だと思う。
新聞記事は価格面を述べる文章が多く、弁償に執着した意地汚い印象を持たされる。

もし楽団側の主張が正しく完全な事故だったとしても、
・事前に打ち合わせして楽器搬入スペースを確保してれば未然に防げた。
・忘れて駐車場を確保していなくても、ホール係員に掛け合い確保したり、一時的に団員等の車を移動して対応することは可能。
・楽器搬入に適さない場所でも指示通り支えていたら、台車が壊れてもチェンバロは落ちなかった。
・多少スロープで台車が移動し目地に台車の車輪がはまったとしても、無理に動かさず指示を待つことは出来た。
わけであり、事故を防げるポイントは楽団側の機転でいくつか存在した。

また持ち主側も
・事前確認する。
・主催者とホール係員に搬入条件を伝え適切な場所を探してもらう
・基本的に素人には触らせない
・支えてもらったら「絶対動かすな」ぐらい念の入れた指示をする
等反省の余地はあり、弁償の過失相殺分はあると思う。

しかしながら、
運悪く何らかの事由で事故が起きたとしても、責任能力の有無に関係なく
・主催事業の中での事は主催者側が真相究明の報告義務を負う。
・物損者の心の解決(謝罪・調査経過報告)は迅速に行うこと。
は大事なこと。
ましてや、搬入車のハッチを閉める間、管理を一時的に委任されたわけで、再起不能になるほどの落下を黙って見てたという責任は逃れられないと思う。

自分が裁判員だったらこの証言だけを聞いた場合、とりあえず夫人の仕事で使う普通の材質のチェンバロ代ぐらい(=200万?)は分割でもいいから弁償した方がいいよ、というかもしれない。
あと紫檀の材料代が出るなら、高橋氏に「早く元気出してもっといいの作ってください」と励ましてやりたい。


まだ不明な部分が多いので、楽団側の言い分を発見したらまた考え込んでみます。(内容により意見が変わるかも)
自分が当事者だったら、すぐさま謝りに行けるかどうか…。

  • mixiチェック

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by marimari   2008年08月01日 23:07
1 たぶん、同じ記事をmixiで見ましたが。
いろいろな考え方があるのですね。
ピアノでも、移動にガラガラ押さないのは常識です。ましてや繊細な楽器を扱うときは....。
私は新聞記事呼んだだけで目がくらみ、そのあとmixiの日記読んで、演奏家として涙が出ました。

で、600万の楽器を無断で動かされて壊された場合、「死んでも触るな」と言わなかっただけの理由で、被害者は400万泣き寝入りせよってことですね。
で、慰謝料も一銭も認めないと。

でも、200万円のチェンバロなんて存在しませんよ。
この価格は、世界に二台しかないものが600万なのではなくて、あえて、製作者だからということで、プレミアもなにもつけず、おそらくかなり低めに設定されているものだと思います。

だいたい、プロの演奏家に「普通の楽器」って......それプロのバイオリニストに「普段に弾くなら、ヤマハの一番安い奴でもいいじゃん」って言いますかね?
2. Posted by おとみ   2008年08月02日 00:41
タイトルのとおり、楽器ももよく知らない一般の「裁判員になったつもり」のです。

プレミア部分の判断は素人裁判員に難しいと思います。
同型を作成して400万で売ったのに、同型だけど600万の価値の意味、きちんと説明できないと楽器の値段は400万と計算されちゃいます。

新聞記事のように、一般人にとっては「素人に高額賠償を吹っ掛た」印象から始まると思います。

原告側に
・事前確認が無かったのに確認しなかった
・搬入条件が合わないのに要望を強く伝えなかった
・指示がきちんと伝わってるか確認しなかった
そういう「過失相殺」要素があります。
「楽器をやってたら知ってて当然」と思い込んで漫然と構えてたら痛い目に遭うので、中高生やアマチュア楽団を相手にするときは、念には念を入れて事前連絡したほうがいいと思います。

200万はチェンバロという楽器の役割を果たす最低ラインの数値で、過失相殺しても偶発の事故だとしても、一時的に管理を任された現場責任者としての最低ライン。
それを下回った金額でいきなり示談しようとしたら、当然決裂するでしょうね。
被告側の情報が聞こえてくる内容どおりでしたら、その過失分加算すると思います。

名誉毀損部分は中立的な情報が無いので、判断しかねています。

金銭的な問題より、自分はこの事件を教訓に、
・アマチュア楽団は事前協議と開催事業にきちんと責任(事後報告)を持つこと
・プロ奏者は「常識では…」と思わず、事前連絡が無いときは確認を入れること
なのではないでしょうか?

搬入も最低限の「譜読み」が必要だったと思います。
3. Posted by おとみ   2008年08月02日 01:49
例えば
自分の子供がベビーカーに乗っていて、スロープ状だから友人に見てもらって、車の扉を閉めてる間に何でかベビーカーごとひっくり返って、子供は打ち所悪くて死亡だったら、どうしますかね。
ベビーカーが壊れたから責任が無い、なんて言われたら心の行き場が無いと思います。
偶発的に壊れたにしても、賠償能力が無くても、どう壊れたら死ぬような落ち方するんだ!と詳細な説明が欲しいでしょう。
そう思ったら切ないですわ。
(自分は子無しですよw)

逆に、当事者だと気が動転して記憶もあやふやだし、突然で何も出来なかったり、無意識に保身に走ったり、どう接していいかわからなくなっていたり、言い訳のつもりじゃなくても相手には言い訳に聞こえたり。
それが結果的に傷つける行為になったり、難しいですよね。

死んだ子供は帰ってこないのはわかってる。
その気持ちをどう昇華させていくか。
宗教の人は心の昇華の本職ですし、
経営者の人は団体行動の専門家のはず。
なのにその力を趣味の分野で発揮できなかったのは残念です。

相手の気持ちになって考える、「おもいやり」が不足した世の中。
音楽っておもいやりの心が無いと、自己満足の相手に伝わらない音楽になるんじゃなかろうか。

コメントする

名前
 
  絵文字